洋裁日記

洋裁が趣味の千葉ロッテファンが、作業過程などを載せます

ピボットスリーブの作り方

※今回は備忘録的な内容なので、いつも以上に分かりづらいと思います。あしからず。

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ピボットスリーブと言っても何種類かに分類できますが、マチ分の位置

(切り込みを入れないと縫えない箇所)が低いと腕が上げにくいです。

チェストライン上3mくらいの位置じゃ微妙。

 

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腋点が低くて腕が上がらないピボットスリーブの例

これなら製図に頼らず自分でパターン展開した方がマシなので

展開でピボットスリーブを作ろうというのが今回の目標。

 

 

フロックコートにしたのは『半・分解展』の長谷川さん(衣服標本家)の活動を見て

100年前の洋服のパターンについて興味が出たことと、youtubeで紹介されていた

『男らしいAライン』や『傾きの構造』に強く惹かれたからです。

詳しくは『半・分解展ch』でどうぞ。

 

実は分解展を始められる少し前からこの方を知ってました(謎自慢)

ピボットスリーブについてggったらまぁ~大変詳しい内容が載ってるブログを見つけ

それがこの方のブログで。

 

あとは古いの製図本のPDFデータ(OCR化?されてテキスト翻訳が簡単)を見つけたので。

こちらのサイト、製図本をはじめ洋服に関する古い雑誌や資料が沢山載ってます。

※ダウンロードは自己責任で。https://www.cuttersguide.com/

半・分解展で販売されてるパターンの元ネタになった製図書もありますよ(小声)

 

・・・まぁ「100年前の洋服のパターンで」という目論見は今回は脆くも崩れ去りました。

着やすいようにパターンに修正かけまくったものの、これなら最初から原型準拠でええやん、と。

 

長谷川さんも動画で説明されてましたが、どうやら20世紀初頭くらいまでの服って

エライ胸を張った姿勢で着るように設計されている物が多いようで。

自分は胸板も無い上に猫背なので相性が悪いです。

あと詰襟よりラペルがあるデザインの方が向いてる気がする。

 

どうしてもチェストにダーツを取るような服だと胸の辺りがボコボコっとなる。

芯地を作り込んで綺麗に形を出そうという気も(技量も)無いし、デザインの方向性もそっちでは無いのだ。

 

前置きが長くなりましたが製図手順をまとめました。

※完成したパターンから巻き戻ってスクショしてますが、紆余曲折を経てるので

実際の手順とは少し異なってます。あしからず

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まず身頃を製図。前身頃のマチの止まり位置をチェストラインから7.5cm上に設定し、合印をつける。

マチ分の切り替え線を決める。

 

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次に袖を製図。今回は袖山にいせ分が入らないセットインの製図。SPはショルダーポイントの略。

外袖からパターンを作り、内袖は外袖の数値を確認してから。

 

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アームホールの合印が来る辺りにマチ止まりを合わせ、腋に運動量を加える。

今回は"結果として"約10cmの運動量が追加された。

修正を重ねた結果なので、この数値にはこだわらないくても良いはず。

 

あと注意すべきは袖山。マチ分が加わった山の形状を、縫い合わせやすい線に引き直す。

切り込みを入れた作り方の場合はそのままでも良いけど。

 

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ほぼ直角になってる線を縫いやすいように滑からな線に直すと、当然寸法が変わってしまう。(足りなくなる)

今回で言うと(いせ分も考え)2cm程、袖山の寸法が足りなくなった。

これを単純に袖山SPの合印を後ろにずらし、外と内の切り替え線を利用して数値を加えるのは良くない。

SPの合印を後ろにずらすと、後ろ振りの変な袖になって前に腕を動かしづらいだけではなく

袖に変な皺が出るのだ(前に1cmくらいずらすことはある)

 

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なのでマチ分と袖山の境い目あたりに切開線を入れて2cm発生させた。

縫い目のキワキワまで切り込みを入れて作りたくない場合は、恐らくこれが正解かなと。

まぁそれでも切り込み自体は結構入れるけども。ステッチで押さえればヘーキヘーキ。

 

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脇下から袖の切り替え線のラインを引き、その数値に合わせ同じ要領で内袖パターンを作る。

 

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腕の可動域や他のピボットスリーブのパターンを見るに、外袖(前)より内袖(後ろ)は腕を上げるというより

前に出しやすくするような角度になってる。と思う。

あれは機能性よりある程度の美観を取ったという事か?それとも単純に腋の運動量はそれくらいで十分なのか?うーん

しかし今回は内袖(後ろ)も外袖(前)と同じくらい強い角度で、より腕が上がるような形状にした。

というか なった。

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外袖の切り替え線の長さに合うように、内袖腋に運動量を加えて線を引きなおした結果、この形状に。

等袖にするか袖の内外の切り替えで”まわし分量”を取るかで、内袖(後ろ)のマチ形状は変わる...と思う。

後は単純に後ろAHのマチ止まりの位置を高く設定し過ぎたのもあるか?

 

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学生の頃から使ってたアイロンが壊れてしまいました...悲しい。

なのでいつも以上にアレな仮縫いです。

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という感じでピボットスリーブ完成。

通常より腋に10cm(折れ曲がるので実質5cm)近く生地あるのでそらもう腕が上がる。

腋に生地が溜まってるなーという感覚も勿論あるが、パタッと畳まれるのであまり違和感はない。 

 

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先月縫った布マスクたち。

やっぱ鼻のとこに針金入れるとフィット感が全然違います。

ウィンドウペンって昔はあまり格好良く感じなかったけど、結構好きかも。

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随分前に特価100円で買ったコットンジャカード迷彩生地。

色落ちしやがる...

 

『布マスクでも異なる素材を重ねれば99%の飛沫粒子をカットできる(米研究)』

https://nazology.net/archives/58112

使い捨てマスクも一時期に比べ入手しやすくなりましたが

これから布マスクを作る場合、素材にこだわるとより効果がある物が作れますね。