ダーツの話
ブルゾンの項のついでに少し書くつもりだったのですが、寧ろこっちの方が本題になってしまったので別項にしました。
まずは国立図書館デジタルコレクションにあった(個人的に)興味深いと思った話です。
2004 年 4 月 7 日フランスのパリ控訴院において,紳士用ジャケットの背中に入れられた
ダーツと呼ばれる 2 本の横線のデザインについて,著作物性を認める判決が下された。
「ダーツ(dart)」とは服飾用語で,衣服を体型に合わせるために,縫い目が表に現れないように布にひだを取った縫込み部分をいう(講談社「日本語大辞典」)従って,それが衣服の縫製加工の結果生じたものであれば,技術的かつ機能的な所産に過ぎないとして当然に著作物性が否定されるが,
デザイナーによって意図的に施された装飾的なデザインであれば,フランスでは著作物性が認められ,著作権法による保護の対象となる。
服飾デザイン「ダーツ」事件
【フランス著作権判決紹介】
流石ファッションの国フランス。洋服に対しての理解度がきっと余所の国とは違うんでしょうね。
詳しくは 服飾デザイン「ダーツ」事件 と検索してみてください。
意匠として印象深いものでいえばDiorの「scar」と呼ばれるダーツが特に有名ですが、
世の中「技術的かつ機能的な所産」の枠に留まらない様々なデザインのダーツがあります。
前置きから本題に移すのが下手クソで恐縮なのですが...
という訳で本題、アイコニックなダーツ達を紹介するんだ!
はい、色々見てみましょう。
まずはDior,,,ポケットの左側にある横線みたいなのが「scar(傷)」と呼ばれるダーツです。
このダーツは衣服を身体にフィットさせるというより、ブランドのシグネチャーとしての装飾的ダーツに分類されるでしょう。
(一応ポケットの形がより立体的になる、という効果もあるのかもしれませんが実感できる程ではないかと)
こんなに細いダーツなのにステッチまでかけてあるとこがまたニクイですね...
というかダーツが細すぎてステッチを乗せようにも乗せられないでしょうから、
ステッチはダーツの縫い目を並走しているだけなのでしょうか?
機会があればよく見てみたいです。
Dior...ヨークの上にも「scar」
服飾専門学校の1年生がこんな作図しようもんなら「すぐ下にヨークの接ぎがあるのになーんでこんなとこにダーツとってんだ」
とか言われそうです。
これもDior...ヒップの丸みを出す意味でも効果的かつデザイン性もある素晴らしいダーツだと思います。
パンツ本体のダーツ部分の厚み分が生地3枚分、その上にパッチポケットのダーツの厚み分が生地3枚分、
さらに縫い代を折り返すので、計9枚の生地があの細いダーツ部分の一点に重なっている訳です。
職業用ミシンでもあまり縫いたくないですね。まぁでも厚みならポケットの閂度め部分とかベルトループの方がよっぽど難所か。
いつもそこで針折るし。
こちらは日本のブランド「ATTACHMENT」のデニム。ダーツの距離が長い分目立ちますね。アタリの具合もカッコイイ。
ここまでデニムの画像ばかり貼りましたが、着ていくうちに段々とアタリが出てきて、ダーツ部分が強調されていくのも見逃せないポイントです。
こちらも日本のブランド「JOHN LAWRENCE SULLIVAN」のデニム。面白いとこにダーツがありますね。
この画像のパンツは大丈夫ですが、膝をつく位置など、体重がかかる部分に生地の厚みが集中するのは避けた方が良いですね。
ふとした拍子に痛いですから。
またまた日本のブランド、「the viridi-anne」のジャケット。袖ぐりや肩ダーツ分量を閉じて、背中心側に移動させてダーツをとった感じですね。
このデザインは結構いろんなブランドで散見されます。
たかがダーツと思われがちかもしれませんが、洋服の主役に近いディティールからさりげない主張までこなせる名脇役的ポジションの物まで様々ですね。
まさにいぶし銀です。
我らが千葉ロッテマリーンズ の選手で例えるなら、主役に限りなく近いダーツであることはもちろん、
いぶし銀と称するにこの人以上に相応しい選手はNPB中探してもそうはいないであろう左の代打の神様、
ロッテ一筋24年の福浦先生。
またいぶし銀のダーツはルーキーながら53試合、防御率2.87と安定した成績を残し、
今シーズンの勝ち継投から火消し役、更には敗戦処理まで一手に引き受けた
有吉優樹投手と言ったところでしょうか。
26歳のオールドルーキーとは言えいぶし銀などと言う言葉を安易に使ってしまうと、ロッテOBの小宮山悟氏は解説席で実況に対して
「いぶし銀というのは、ある程度年齢がいって経験豊富な選手に対して使う表現ですよ、有吉なんかまだペーペーですよ」
と眉を顰める事でしょう。(実際に田村の事いぶし銀って言った実況に同じ事言ってたし)
こんな例えしたところで間違いなく誰もわからないでしょうけど、いいんです。
一応ロッテファンだという主張をしているので、こんなところまで訪れてくれた同士がいたのなら少しでも楽しんでいただけたらこれ幸い、
という所存であります。
色々と書きましたが、
自分も単純に機能性だけを考えたダーツではなく、何か自分だけのアイコニックなダーツを引きたいものです
まぁぶっちゃけ今回のブルゾンの前ダーツは、機能性無視の見た目に全振りかつ余所から拝借したデザインですが...orz
以上、ちょっと詳しいぶってみた更新でした。